多品目栽培。その成功と秘訣とは - agmiru
樫村ファーム

樫村ふぁーむ

樫村智生さん

樫村ふぁーむ
https://www.kashimura-farm.com

樫村ふぁーむは、茨城県日立市の最北部の十王という場所で海と山に囲まれた、東京ドーム3個分を超える広さの農園である。

初代の健司さんが農業を始めたのは45年以上前で、始めた当初から栽培期間中は農薬や化学肥料を使っていない。現在は二代目の智生さんがその想いを引き継いでいる。

樫村智生さん
地域 茨城県日立市
栽培作物 路地野菜、施設野菜、水稲
栽培面積 畑作6ha.水稲10ha
従業員 14人

今の農業経営に至ったキッカケを教えてください

地元スーパーでの販売に集中

東日本大震災後、販路先としていた大地を守る会(現在はオイシックス・ラ・大地)の出荷量の削減、輸送コストの増大により継続が困難になったため、地元のスーパーでの販売に集中し始めました。その結果、地元のリピーターがたくさん増えたお陰で今では店舗も増え、専用コーナーを設けてもらい販売ができています。 地元に注力し樫村ファームの野菜を広く知ってもらうことで、現在はほとんど営業活動をせずに栽培と管理に専念できています。

地元のスーパーや飲食店での販売が継続できたポイントはなんですか?

野菜の需要と出荷量を管理

飲食店と同様に、旬の商品を提供し、価格帯を決めて市場を見ながら取引をすることがビジネスのベースだと思います。バイヤーさんや飲食店とのコミュニケーションを重ねることで、信頼関係も構築できますし、直接注文を受けるようになってからはメールやLINEなどのやり取りが多くなりました。そうやって直接やり取りができることで、欲しい野菜の大きさや使い方、調理方法などの細かい要望を聞いてそれに合わせてた野菜を提供することも必要なことだと考えました。

そのため、野菜の需要と出荷量を管理することが重要で、タイミングを間違えると問題が生じる。例えば大きめの野菜需要は減少しているから、小型の野菜需要が増えていることや、大きな大根の需要が少なく、キスジノミハムシの虫害も出やすい時期のため、ミニ大根を早めに収穫することで被害を少なくし、ニーズにもマッチする。こうした需要に合わせた野菜を生産するといった工夫がとても重要です。

そういった経営を続けていくと、理想的な経営ですし、環境のことを考えてもいいことなのかなと私は考えてます。もちろん都内まで販売網を広げることは必要になることもありますが、それは地元で出荷することとはすみ分けて考えたほうがいいですね。

キャベツ

樫村さんの農業経営スタイルをもう少し深堀って教えてください

農業経営において自分に必要な手法はコンパクトな生産方法を採用すること

私に必要な農業経営はとにかく「コンパクトな生産方法」を採用することですね。品質を保ちながら経費を削減し、従業員の働きやすさを改善することが重要で、管理ばかりに時間が割かれてしまうことは極力避けたいので、その問題を減らすためにスタッフにはシフト制を導入しています。シフト制にすることで時間の調整管理の手間を極力省きます。そうやって「コンパクトな生産方法」という理想的なビジョンと、働いてくれるスタッフの環境を整える現実的なことを融合させることが私にとっては成功の鍵だと思っています。

ビジョンはどこにいても常に私の中に存在していますが、現実的な環境を整えたり、何かを管理するそこでしかできないことに関しては、正直「agmiru作業管理」はとても重宝しているんです。これまでも色々なツール試してきましたが、結局は全て手帳管理に戻ってました(笑)とは言え、毎回何か振り返りの際はページをめくっての繰り返しなので、探すときにパッと出てこないんです。その点、agmiru作業管理だと記録したものすぐ検索できて振り返りが圧倒的に楽になりました。

農薬は使用しないので、資材登録や農薬散布管理は必要ないですが、とにかく管理する圃場が多いですし、栽培品目も多いでのでその管理の自由度が高いのも自分の経営にとてもマッチしています!特に複数の品目や圃場を管理しているので、スタッフにもある程度は把握してもらっていても、細かなところまでは伝えないといけないので、その時にアプリでスタッフと一緒に地図見ながら細かな指示を出せるので、今までよりもスムーズに作業を進めることができるようになりました。

agmiru作業管理を知ったキッカケを教えてください

「agmiru作業管理」アプリのモニター募集から

クレイジーアグリジャパンの菅谷さんが、クラブハウスで話していたときに農作業記録アプリ「agmiru作業管理」のモニターを募集されていて、それで知りました。それ以来スキマ時間にスマートフォンで作業を記録しています。私はスマホを現場にも持ち歩くのでアプリでサクサクと記録するだけで簡単に登録できますし、管理する圃場が多いと初めの圃場登録には手間がかりますが、それ以降は手書きよりも楽に管理できます。念のため手帳にも簡単にまとめています。スマートフォンと手帳の両方を使うことで、柔軟に記録を管理できると感じてまして、特に仕事が終わった後に手帳へ情報を書き写すことで作業の再確認ができるため、非常に役立っています。

agmiru作業管理のどんなところが利用の決め手になりましたか?

想像以上に機能が充実している

これまでも色々試してみたんですが、何か相性が合わなくて、行き着いた先がagmiru作業管理という感じでした(笑)個人的には結構満足していて、一番良いなと感じるところはなによりも無料なところです。これだけのことが無料できるっていうのがすごいと思います。なので、希望としてはこれからも無料で続けてもらえた方が嬉しいです(笑)

無料だと他の生産者の人もはいり口として試しに使ってみようと思いますし、実際触ってみると想像以上に機能が充実しているのが一番有難いなというのが率直な感想です。 そこで、下手に中途半端な機能を追加して有料にするぐらいだったら、今の機能で十分なので無料のままの方が広がりはあると思いますし、実際記録系のアプリやサービスを試したくても最初から圃場登録をやる上でも有料登録しなきゃダメとか、利用できる人の人数も制限があったりということ自体が私たち生産する人間にとってはそもそもの問題なんです。 あえて欲を言うなら今の機能にさらに従業員の勤怠管理とかができるようになると最高です(笑)

今後アプリを利用される上で、将来的に見えている世界観はありますか?

生産者みんなで共有しあえる世界

ここ数年間の自分としての取り組みとして、1つのテーマが「仕事の作業以外の時間を作る」ことなんです。常に圃場で栽培に集中していることが全てを把握できて良いことだとは思いますが、それ以外の時間として飲食店へ自ら配達しそこで直接シェフと会話することで新たな気づきを得たり、農業系に限らず都内や地方へ勉強会に参加するなど、「自分時間」を作ることを意識しています。それが実現できるのも、作業記録と管理をアプリでできているからかもしれません(笑)私だけでない人も同じように使えることで、誰がやっても同じような記録と管理ができると樫村ふぁーむはきっと次のステージにいけると(笑)

とは言え、農業経営が上手くいっている人だけが使えるアプリだけでは記録アプリの将来性は見えないです。ある程度これから経営が上向きになる様な人たちに向けても、上手く使えるようなアプリでなきゃいけないと思うし、慣行栽培、有機栽培とか関係なく、みんながこういったアプリを使ってデータを蓄積することで、本当に経営が上手くいっていないところがなんなのかが明らかになるだろうし、それを生産者みんなで共有しあえる世界があると、これまで見えてこなかった農業経営の本質的な課題や改善点が明らかになって、きっと今より良くなると思っています。言い換えるなら、作業日誌、栽培日誌は隠すものではなく、むしろオープンにして何かあればこれ見て下さいが言えるものだと。